Rainbow Reflections by Patricia Kaminski
虹が映し出すもの
パトリシア・カミンスキー


2019年最後の日の夜、つかの間の激しい雨風がシエラの山のふもとに降りそそぎました。次の朝、虹がテラフローラの地に恵みをもたらします。上の写真は、カメラに収めたものの一部です。導きとなる吉兆のサインや夢を与えてくださいと、毎年新年になるとお祈りする私たちですが、このときはすぐさま、これだ!と分かりました。

私にとって虹は特別な意味があります。子供の頃は空に虹が架かると、虹の麓にあるという伝説の金の壺を見つけようとして、ネブラスカの草原を夢中で走り抜けたものです。私は、20代の中頃にバッチのフラワーエッセンスに出会いました。そして、自分自身のみならず、教え子やリハビリテーションプログラムに参加していた受刑者達の、劇的な癒しの体験を目の当たりにしました。フラワーエッセンスは、人生の次のステップをどう踏み出すべきか迷っていた私に、当時の不健全な状況や関係性と決別する勇気をくれました。この重大な決心を下した直後、リノの砂漠に夏のスコールが起こり、大空に燦然たるダブルレインボーの橋が架かったのです。

ネイティブアメリカンに伝わる教えでは、虹は人の涙でできていると言います。どこかで誰かの魂が生まれ変わったとき、虹が現れるのだと。あの壮大なダブルレインボーは具現化した天啓のようでした。目にした時、花々が勇気と洞察という癒しを私の魂に与えてくれたことへの感謝の気持ちでいっぱいになりました。そして私は、花の癒しで世界に貢献する道を見つけることになるだろうと、揺らぐことのない確信を持ちました。虹の誓いは、神と人類の間で交わされた新たな聖約であると創世記9章に書かれています。私は、その意味をこの時に初めて深く理解しました。大洪水のあとにノアが、暗闇と消滅から前へと歩を進めたように、人類の魂の前進も神に約束されているのです。(注 創世記9章の虹の誓いとは、ノアの洪水の後、今後怒りに駆られた時は虹を見て心を鎮め、二度と人間を滅ぼすことはないと神が約束した、という一節のこと)

ほどなくして、私はソウルメイトであり、仕事上のパートナーでもあるリチャード・キャッツに出会いました。彼もバッチのフラワーエッセンスによって人生の方向が深く変容し、カリフォルニアに咲く野性の花を用いたリサーチを始動したばかりでした。そして、この新たな仕事を象徴するロゴのデザインを依頼したところだと、私に話してくれました。FESのロゴには、土地に自生する美しいカリフォルニア・アイリス(Iris douglasiana)が描かれています。ギリシャの虹の女神にちなんで名づけられ たアイリスのロゴを前にした瞬間、ほんの数か月前の自分の魂の誓いを確認する想いでした。それからさほど経たないうちにリチャードと私は結婚し、お互いへの誓いと、共に携わるライフワークへの誓いを立てたのでした。私たちは自分たちの手で結婚式の衣装を作ったのですが、衣装にはもちろん、アイリスの花の装飾を施しました。

ジョン・キーツは、人間が与えられた状態は「辛い浮き世」としてのみ捉えるべきではなく「魂を形作るもの」として捉えられるべきだと言明しています。つまり、人生の経験につきものの試練や苦難は、その人独自の在り方と力強さを鍛え、生みだすチャンスだということです。アイリスの花のエッセンスは「魂を形作る」性質から、フラワーエッセンス・セラピーの基本となるものです。創造の可能性とその発揮という、その人独自の色彩の展開を呼びさまします。花の癒しのプロセスは医学的なものではなく、アルケミー的なものです。色彩は闇の欠如ではなく、闇と光が、魂の選択と創造性が成す無限の可能性へと向かって結合したものだということを、究極的には私たちに教えているのです。アイリスの癒しの力は単なる詩的な空想ではなく、自然科学に見られる深い真実に基づいています。偉大な詩人で文人であるヨハン・ゲーテは、色の現象学に踏み込んだ自らの科学的研究を、人生で最も重要な課題として捉え取り組んでいました。ゲーテは、闇と光がさまざまな形で関わり合うことで生じる色を、ていねいに記録しました。色の美しさが芽生えるためには、闇と光の両方が欠かせないのです。抽象的で数学的な白色光のオングストロームで表されたニュートン的な色の捉え方とは、まったく対照的です。

アイリスのエッセンスにより虹の癒しの力が表れた臨床ケースが、長年に渡って報告されています。自閉症の子供たちが絵を描き、詩を書くことで自分自身を見出す話。アルコールやドラッグへの依存を絶ち、夢や魂のビジョンに耳を傾け始める中年の男性の話。宿題に苦しむ学生が、自分の芸術的な才能と表現力を課題に当てはめる方法を編み出す話。日中は眠気防止薬、夜は導眠剤が手放せない働き盛りのキャリアウーマンが、収入減になるにもかかわらず、自らの魂の創造性を表現できる仕事に就くため現職を離れる勇気を手に入れる話。そんなたくさんのケースが届いています。

FESのロゴであるアイリスは、フラワーエッセンスとしての素晴らしい恩恵の象徴であることもさることながら、大自然の魂に抱かれるすべての花を表す表象でもあります。 ロングフェローの「ハイアワサの 歌」に美しくその真実が描かれています。若きハイアワサがはじめて虹を見て、虹についてもっと知りたいと賢き指導者であるノコミスにお願いしたときのことです。

天国で虹を見た
東の空に、虹を見た
そしてささやいた「あれは何だい、ノコミス」
すると善良なるノコミスは答える
あそこに見えるのは、花の天国
森に咲くすべての野生の花々、草原に咲くすべてのユリ
地上での色が褪せ枯れるとき
ああして、我々の頭上で天国となって満開になるのだよ

花の本質が溶解し、天国にあるエーテル体と融合する様子を描くこの知恵の教えは、物質主義の現代で忘れられている感受性のひとつではないでしょうか。フラワーエッセンス療法の働きが、ささやかでありながら非常にパワフルな理由の中心となるのが、この教えが語る真実です。花は、魂が美徳という精神的な力を取り戻すのを助ける虹の橋そのものであり、それぞれの花は独自の声と内なる教えを携えています。花は、私たちが住むこの地上に育ちますが、その真の姿は、天上界からの使者です。もちろん、現代では花を科学的な構成要素や遺伝子情報で抽象的に定義することもできます。人間で例えてみましょう。人を細胞の構成や科学的な成分で定義することはできますが、だからといって目の前に立っている人の本物の個性を理解したことにはなりません。実際は、花がもつ魂の言葉は高い次元からアーキタイプ的な美徳を伝え流れているのであり、私たちひとりひとりの内で行われる「魂の形成」を促す新たな声として、媒体となる可能性を秘めているのです。

新たな10年が始まる2020年の新年を迎え、数十年前に行った誓いをここに新たにしたいと思います。私たちは、深い歓びと心からの献身をもって花の声に仕え続けます。消滅と闇という私たちの時代にあっても、ノアのように虹の誓いを経験することができることを願っています。

FESのウェブサイト(Flower Essence Society website)には、私たちが取りまとめている世界中のプラクティショナーから成るコミュニティーの投稿が掲載されています。これらの臨床ケースが皆さんのインスピレーションとなることを願います。クライアントや地域、家族や友達への皆さんの尽力に、私たちの深い感謝の気持ちを何にも増して表したいと思います。外的な目からは見えないかもしれませんが、私たちは物質と魂をとりまくマトリックスを思い描きなおすという、癒しの新たなパラダイムを共に作り出しています。花の光の癒しをとおして、ポジティブで輝かしい希望をもたらす魂の言葉が、人類のハートに流れていることには間違いありません。

リチャード・キャッツ&パトリシア・カミンスキーとFESチームより

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